「アラブ人」という概念は人種的存在とは言えない。むしろ
セム語(
アラビア語)という言語を共有する人々としてであったり、聖書に伺えるある人物を始祖とするという共通概念で規定される。アラブ人は
旧約聖書に登場する
アブラハムが妻
サラの女中であるハガルとの間に生ませた長男の
イシュマエルを祖とするイシュマエル人の子孫と称し、イサクの子孫である
ユダヤ人とは別の民族になったとしている。民族的概念と人種的概念が一致しないという点で、アラブ人とユダヤ人は共通するといえる。最初のアラブ人はアラビア半島の住民であるが、イスラム教の聖典の
クルアーンはムハンマドを通じてアラブ人にアラビア語で伝えた神の言葉とされているため、イスラム教の拡大によってベルベル人やエジプト人など近隣の多くの人々が言語的に同化させられ、アラブ人となった。その後、
20世紀初頭に
オスマン帝国や欧州列強の
植民地支配に対する抵抗運動の中で
汎アラブ主義が勃興し、アラビア語話者の間に「アラブ人」という民族意識が補強された。