橋姫は、妬んでいた女、その縁者、相手の男のほうの親類、しまいには誰彼かまわず、次々と殺した。男を殺すときは女の姿、女を殺すときは男の姿になって殺していった。京中の者が、申の時(15〜17時ごろ)を過ぎると家に人を入れることも外出することもなくなった。
綱は「夜は危ないので、
五条まで送りましょう」と言って、自分は馬から降りて女を乗せ、
堀川東岸を南に向かった。
正親町の近くで女が「実は家は都の外なのですが、送ってくださらないでしょうか」と頼んだので、綱は「わかりました。お送りします」とこたえた。すると女は鬼の姿に変わり、「
愛宕山へ行きましょう」と言って綱の髪をつかんで北西へ飛びたった。