経口補水塩(けいこうほすいえん: Oral Rehydration Salt)は主に
下痢、
嘔吐、
発熱等による
脱水症状の治療に用いられる。
食塩と
ブドウ糖を混合したもので、これを水に溶かして飲用する事で
小腸において水分の吸収が行われる。水に溶かした状態のものを
経口補水液 (Oral Rehydration Solution)という。略語のORSはSalt、Solutionのいずれの意味でも使われる。
下痢、嘔吐、発熱といった症状は、これが長期間に及んだりあるいは頻度が高くなった場合には脱水症状を引き起こし、小児や老人では死に至る事もある。これに対して、病院では主に
点滴による水分補給が行われるが、手技の簡便さから経口補水塩による治療が普及しつつある。特に
発展途上国などでは
感染症などに起因する脱水症状発症の危険性が高く、また十分な医療設備がないことから点滴治療が困難な場合がある。このため、
WHOや
UNICEFは経口補水塩の配布を行い、発症初期での補水治療に関する啓発活動を進めている。先進国においても、特に乳幼児に対して点滴を長時間行うことは困難であり、経口補水塩による水分補給が望ましい。
小腸で
ナトリウムイオンとブドウ糖が吸収される際、これに伴って水も吸収されることから、経口で水を補給するためには、糖と食塩を同時に与える方が水単独で与えるよりも効率的である。古くから病人食とされている
重湯は
デンプン(ブドウ糖の
重合体)を多く含む
コメを煮て、少量の食塩を加えた食品で水分補給という点で理にかなった食品であったといえる。詳しい研究の結果、ブドウ糖濃度が2〜2.5%程度でブドウ糖とナトリウムの
モル比が1:1の場合に、水の吸収効率は最も高まる。また
浸透圧は、血液の浸透圧(270mOsm/L)よりもやや低い200-250mOSm/Lが良い。